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時計デビュー

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欲しい物がないない言い続けて幾年月。にわかに時計が欲しくなって買ってしまった。「にわかに」とは言いつつ半年以上迷っていたのだけど、経緯を書いておきたい。

1年ほど前に壊れた壁時計を買い換えて、初めて電波時計をいうものを間近に見て感動したのがことの発端だ。電波時計の存在自体は昔から知っていたし、意識してみればすでに家にもいくつかあったりして、だいたいいつもスマホの時計見てるわけなので、今更驚くようなことは何もないようにも思うのだけど、なんだか妙に感動してしまった。

何がそんなに感動的なのか。人目につく場所の壁にかけられてペースを乱さずに静かに時を刻み続ける、という存在のあり方なんだろうと思う。

不特定多数の人目にさらされる場所というのは、好奇の目にも批判にもさらされるとてもストレスフルな環境だ。壁に吊るされ取り繕うことも許されず、なんならシースルーバックのスケルトンの時計なんて中身まで丸裸で人目にさらさている。相手によって顔を使い分ける姑息さが情けなくなる。

そんな場所で、年に数秒のずれでも感謝も賞賛もされず、一方で数分ずれるだけで役立たずと罵倒されるシビアな仕事をしているというのはかなりすごいことだ。納期に数日遅れて開き直る、今日はやる気が出ないと仕事ほったらかしでYouTubeを見始める、褒められなかったらがっかりする、我が身を省みて恥ずかしい。

時計に求められる静音性も半端ない。秒針の動く音なんて、最小音量のテレビの音より静かだろうけど、寝れない、集中が妨げられる、散々な言われようだ。夜間秒針停止機能なんていうのもあるらしい。時計としての機能は維持しつつ、さらに静かに、自らの存在を消して仕事をする健気さ。ドヤ顔で自分の仕事をFacebookでシェアしていいね!待ちする下品さよ。

淡々とした仕事ではあるものの内に引きこもるでもなく外とのコミュニケーションを通して修正するところもクールだ。福島県の大鷹鳥谷山と福岡県と佐賀県の境にある羽金山から発信される電波を受けているらしいけど、目に見えない大きなものに従って動くという生き方はかっこいい。僕なら目の前の人の顔色を伺いながら多少のサービスをしたり誤魔化したりしそうだ。

ただひたすらにリズムを刻み続ける、という仕事内容もかなりタイトだし、燃費の良さもすごい。単三電池一本で...、などと言い出すとキリがないけど、要する…