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家族看護学会の抄録

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9月に東京で開催される「日本家族看護学会第19回学術集会」のシンポジウム「家族研究の方法論」でお話させていただくことになり、その抄録を書いたのでこちらにも転載。何を話すか考え中です。
「精神障害をもつ人の家族の研究で分かったこと分からなかったこと」

  本発表は、2003年から2011年にかけて発表者らが行った二つの家族研究の紹介とその結論についての再考からなる。二つの研究はいずれも、精神障害をもつ人の家族に焦点を当てた研究であり、重度精神障害者に対する地域ケアのプログラムであるACT(包括型地域生活支援: Assertive Community Treatment)に関する研究である。これらの論文の執筆時に筆者が感じていた迷い、また、論文発表後に感じ続けていた違和感を出発点として、これらの研究について再考する。

  一つ目の研究は、精神障害を持つ人の家族のACTに対するニーズ調査である(Sono, Oshima, & Ito, 2008)。精神障害者家族会のメンバー(n=224)を対象とし、ACTに対するニーズの他、困難度や生活満足度、介護負担感などを問う質問紙を用いた郵送自記式調査である。家族による支援に代わるものとして、また、将来の親亡き後の不安を解消する手立てとしてのACTへの期待の大きさが明らかになった。

  二つ目の研究は、ACTでの家族支援の形態が利用者本人のアウトカムに与える影響に関する研究である(Sono et al., 2011)。家族と同居するACTプログラムの利用者を対象とする研究で、ACTによって提供された家族支援の内容と量から、対象者を「本人を支える家族を支える(後方支援型)」と「家族に代わって本人を支える(支援代行型)」の2群に分け、本人のアウトカムを比較した研究である。家族に代わって利用者本人を支える形の支援が、症状の軽減、社会機能の改善、自己効力感の向上、高いサービス満足度にとって有効であることが示唆された(表1)。



  これらの研究では、一方では家族が感じるニーズの側面から、一方では障害を持つ本人のアウトカムの側面から、いずれもケアを家族の手から専門職の手に移すこと、つまり「ケアの社会化」が重要であると結論づけている。確かに、精神障害を持つ人のケアの負担が家族に偏在し、家族が疲弊し、将来の不安に苛まれる状態を考…