最近読んだ二冊の本

読んだ本のメモ。


金子勝と児玉龍彦 の「逆システム学―市場と生命のしくみを解き明かす」。著者お二人ともテレビやYouTubeでお話されているところを見たことがあって、理路整然と超早口で話される姿が印象的で、本を読んでてもその様子が思い出され、読んでる目も字をなぞる速度が上がります。生物学と経済学、実はとてもシンクロしてて、抱えてる問題やトレンド、これからのあり方、相互に学び合う部分が大きい、という本。キーワードは「多様なフィードバックのループ」。


網野善彦 の「無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和」 。これは、例の「東大話法」の本の中で、
無縁者とは「えた、非人、子ども、老人、女性、僧侶、医者、かたわ、酒飲み、喧嘩好き」などです。p220
っていう一文があって、「僕の周りにいる人、好きな人、無縁者だらけじゃないか。無縁って何だ?」と気になったのがきっかけで買った本。日常的に使う「無縁」は、頼れる人がいないとか、身寄りがないとか、孤立しているとか、そういう意味だけど、上のリストからも分かるようにこの「無縁者」の意味は違います。今風の言葉でいうと「システムから自由な人たち」という感じかな。読むと世界の見え方が変わる本は良い本だと思っているのですが、これはまさにその意味で良い本。「無縁」性という軸がひとつ増えて、人を見る時もそれ以外でも、「おぉ、これはかなり無縁。」などと思ったりするようになります。東大病院と旧岩崎邸の間に「無縁坂」という坂があるのですが、これなんてまさにこの「無縁」の坂であることがよく分かります。今は東大病院も三菱もシステムの中枢で「有縁」そのものですが。



今日たまたま目に止まったTumblrの記事だけど、
出版社の最大の弱点は、本が嫌いな人間が内部にいないことだ、と以前に書いた。これは、出版社に限ったことではない。おもちゃの業界もそうだし、映画やアニメの業界もそうだと思う。TVだって、大学だって、ほぼ同じだ。第一世代は、いろいろな人間がいたはずなのに、その組織が安定期に入ると、その仕事に憧れた人間しか入れないようになる。自分の好きな仕事をしたいと考えるのが自然だし、また就職の面接でも、どれだけその仕事がやりたいのかを問う。だから、当然仲間が集まる。
この記事と、一見全然関係のない上の2冊の本、僕の中ではがっつりつながっているのですが、何がどうつながってるのか、うまく説明できなさそうなので、またおいおい。

要するに、人が成長するということは環境の変化に多様な反応ができるようになっていくこと、つまりは複雑になっていくことであって、社会が成熟するということは人、物、情報、思いの流れが複雑で多様になっていくことなんだろうな、ということです。システムの内側に多様性を孕むこと、これが大事なんだろうな、と。

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