キング牧師の本を読みました

キング牧師ことマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King, Jr.)の本を読みました。岩波新書の「自由への大いなる歩み―非暴力で闘った黒人たち」です。

ブラックミュージックが好きなので以前からキング牧師には興味を持っていたこと、そして、この前読んだティク・ナット・ハンの本の中で、ハンがキング牧師を友人と呼んでいたことが読んだきっかけ。

キング牧師は、ジョージア州アトランタで牧師の息子として1929年に生まれ、26歳でボストン大学神学部で博士号取得、その年の12月にはバスボイコットの指導者としての活動が始まり、リンカーン・メモリアル前での「I have a dream」のスピーチが34歳、35歳でノーベル平和賞受賞、39歳で暗殺されるという、なんとも激しい人生を送った人です。こう書いてしまうといかにも自分とは関係のない世界の人のように思えてしまいますが、本の中では時代に流れに巻き込まれて翻弄されてもがく姿が本人の目線で書かれていて決して他人事ではない感じがしてきます。で、この本はその中の、26歳から29歳のまでの数年間について29歳のキング牧師自らが書いた本。文章が若々しいとは思っていましたがここまで若いとは。

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これが34歳の時の有名なスピーチ。素敵な日本語訳もあります

アメリカの黒人差別の歴史について詳しく知らず、実体験のようなものは何もないのですが、ヒップホップの歌詞やミュージシャンの言動や服装、まだまだ今でも根深く残っていることは何となく伝わってきます。ロス暴動のニュースは記憶に残っていたりもします。

で、この本で紹介されていた印象的なエピソード。キング牧師の前任の牧師がバスに乗っていた時のこと。黒人の彼が白人用の座席に座っていたら、バスの運転手が席を移るように指示します。彼はこれを拒否します。運転手は降りるように命令し、彼は拒み、という問答の後、運賃を返すという条件で彼はバスを降ります。この時に、同じバスに乗っていた他の黒人の乗客に抗議の意味を込めて一緒に降りてくれるよう彼は言います。しかし誰一人これに応じるものはなく、一人の黒人の婦人は彼に向かって「あなたは現実をもっとよく知らねばなりません。」と言った、というもの。

不条理は常態化すると見えなくなるだけではなく、現実から目を背けている態度がむしろ現実をクールに見つめている態度にもなってしまうのですね。しかも、不条理から利益を得ている側だけでなく不利益を受けている側でも。このような見えなくなってしまっている不条理、身のまわりにもきっとたくさんあるんだと思うのですが、ぼんやり生きてるとなかなか見えないもので...。

モンゴメリーのバスボイコット運動が、一つの小さな街の出来事でなく全米や世界に大きな影響を与える動きになったのは、キング牧師の人柄や行動力、他にも数々の条件が重なった結果ですが、キリスト教思想がとても大きな役割を果たしていることがよく分かります。キング牧師とよく対比されるマルコムXは経験なイスラム教徒だったそうで、次はマルコムX読んでみようかな。

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