淘汰

今日は仏教史です。ふう...。今日の講師は龍谷大学の教授です。山口県の小さなお寺の住職でもあるとのこと。

紀元前のインドから現代アジア諸国にいたる仏教の流れのお話なのかと思っていましたが、今日の先生が専門にされているのが日本近代史だそうで、その辺りばっさりはしょって(!)、江戸時代の日本仏教のお話でした。

江戸時代の日本仏教は、「幕藩制仏教」ともよばれ、徳川幕府の正統宗教として政治に組み込まれ、教団運営の地盤が固まるとともに、教義理念に基づいて権力を批判する能力を失った時代、ということができるそうです。膨大な数の寺院が創建され、教団と各寺院、寺院と檀家のネットワークが制度化された時代でもあります。

たとえば寺請制度。幕府のキリスト教禁制のためのこの政策は、全国民が強制的に仏教寺院に所属させられる制度です。戸籍業務の仏教寺院への委託、というか、強制加入の檀家制度です。この時代の寺院は実質的には役所の出先機関だったんですね。お寺の過去帳が充実してるのはこういう歴史があったんですね。

で、この制度、寺院側としては安定した運営や収入を保証される形となり、僧侶の堕落が目立つようになった時代でもあり、明治維新時の激しい廃仏毀釈の背景となります。

また、この制度によって、僧侶と民衆の接点が増え、良くも悪くも仏教が大衆化された時代でもあり、加持祈祷やお祓いといった現生利益的な仏教が流行し始めたのもこの頃だそうです。

檀家制度ってこんな形で作られたものなんですね。檀家制度の崩壊、という言葉はよく聞きますが、そりゃ崩壊しますね。っていうかいまだに残ってるっていうのがむしろ驚きです。明治になって約150年、約5世代、まあ残っててもおかしくはないのかな。すでに都市部ではかなりなくなっていると思いますが、滋賀県などでもおそらく僕の世代が檀家制度の最後です。既得権益の上にあぐらを組んでいるお寺が本格的に淘汰される時代です。

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