36時間の断食やってみた



ずっと前から断食には興味があったのだけど、実際にやってみようと思ったことはなかった。

最近、ちょっと太ってきたのでダイエットしようとしてること、仕事が落ち着いていること、気候が良いこと、イスラム教に関する本を読んだこと(内田樹、中田考「一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教」)、などなどあって、思い立ったが吉日、一日のプチ断食をやってみた。

宗教的な祈りや修行としての断食、健康法としての断食、抗議手段としての断食、いろいろある。仏教でも時代や宗派によって様々だけど断食は広く行われてきたことで、先達がやってきたことを少し体験してみたいとか、ダイエットしたいとか、この飽食の時代は本当にこれでいいのか、なんてことを考える上でも一度思い切りお腹をすかせてみたいとか、うっすらとした動機があることはある。

けど、まぁ、要するに暇つぶしのちょっとした小旅行に行くようなノリの断食だ。「食べない」という、とっても簡単で、低コスト(日常生活よりも低コスト!)で、誰にも迷惑をかけずに非日常が味わえるなんて、かなりお得だ。考えてみれば、病気で寝込んで何も食べれない...、みたいな時を除けば24時間ものを食べないことって、生まれてから今までなかったような気がする。一日食べない、ってだけで、ヘタな海外旅行なんかより新しい世界に出会えるかもしれない。

というわけで、木曜の夕飯を普通に食べた後、金曜一日まるまる何も食べずに(水、お茶、コーヒーはあり)、土曜の朝に解禁、という36時間の断食をやってみた。

金曜の朝、すでにお腹がすいてるんだけど、朝食は抜き。まぁ、朝を抜くことは出張の時とか、早朝に出かける時とか、時々あるので珍しくも何ともない。のだけど、外に出てるのとは違って、手にとっていい食べ物が周辺にたくさんある環境での空腹は珍しい。

で、午前中の仕事。あまり集中できないのはいつものことなので、空腹のせいなのかどうかは分からない。

昼ごはんも抜き。このあたりから「僕は一体何やってるだ...。」と思い始める。まぁ、いいか、別に食べちゃっても。だって食べ物あるんだし、お腹すいてるし。かつて断食で悟りを開いた人がいるのか、断食で健康的に美しくなった人がいるのか、社会を動かしたハンガーストライキがあったか。いや、まぁ、あったのかもしれないけど、悟りも美貌も社会変革も目指してないじゃん、別に。

とはいえまだ半日。もうちょっと進んでみたい。

午後、お腹が空いてる以外はいつも通り。お腹がグーグーいう。体重を計ってみた。前夜に71.8kgだったものが70.6kg、20時間で1.2kg減。ほう。

夕飯時。人が食べてる姿は見ないようにしようと思うのだけど、食べ物の匂いに敏感になっててつらい。お腹はグーグーいわなくなった。これで24時間。

夜、お腹が空いてる感じがしなくなる。目の前に食べ物を出されたら欲しくなるだろうけど、メールを書いたり、簡単な作業をしたり、普通に集中できるし、お腹が空いてることを忘れてる。お腹がすいて眠れないかと思ってたけど、そんなことはなくいつも通りに寝れた。

で、朝。体重を計ってみると、69.9kg。36時間で1.9kg減だ。

おあさじが終わっていよいよ朝ごはん。ラマダーンでいうところのイード・アル=フィトルだ。あと breakfast ってそもそも(break = こわす + fast = 断食)だ。この朝ごはん、めちゃくちゃおいしい、普段と同じ食べ物が100倍おいしい、軽くめまいがするくらい。これはすごい、みんなもやってみるといいよ~、って書こうと思ってたけど、別にそうでもない...。いや、確かにおいしいのだけど、普段より丁寧に味わってるだけだな。むしろ、せっかく空っぽできれいになったお腹に、食べ物を入れてしまう残念さの方が勝ってるんじゃないか...。

人と一緒にやったら楽しいのかなぁ、という気もする。「お腹すいたねぇ。」「あと●●時間だ。」「わぁ食べれる、いっただきま~す!」とかいいかもしれない。けど僕は団体行動が苦手だ。

比叡山には、断食・断水・断眠・断臥で一週間以上真言を唱え続ける修行があるそうだ。これをやってる修行僧、後半は死臭が漂ってくる、なんて話もあるけど、これはさすがに嫌だ。断食を山登りに例えれば、比叡山のエクストリーム断食がエベレスト登頂、1日のプチ断食は猪子山散歩、みたいな感じだな。

藤原新也が何かの本で「冬眠」の話を書いてたような気がするけど...、「空から恥が降る」だ。
ある薬草を加え四年間以上熟成した蜂の子入りの蜂蜜をたらふく食う。この蜂の子には微量の睡眠薬に似た成分(非常に良質な漢方)が発生していて、何日かかけて五キログラムぐらい食うとある臨界点で、徐々に眠気を催してくる。その日から五日間断食を挙行。排便排尿し、余分なものを体外に出す。それが終わった次の日ヨガのサマダイ手法に則して数時間かけ、呼吸と脈拍を徐々に落としていく。意識が下降する寸前で温度湿度をしっかりと管理した薄暗い部屋(真っ暗ではいけない)に用意しておいた布団にすべり込む。最低三週間は眠り続けるので、その間に連絡しておかなくてはならないところには連絡をとっておく。素人は真似しない方がいい。そのまま眠り続け、永眠という事態にもなりかねないからだ・・・熊の場合は自然の食糧の粗密のサイクルにあわせた身体生理現象だが、俺の場合は心身の再生の儀式である。
おお...。真似しようとは思わないけど、興味はあるなぁ。

36時間の断食でも、お腹が空っぽになる感じとか、リフレッシュされる感じとか、ちょっとした達成感とか、おいしい朝ごはんとか、いろいろと気持ちいい要素はあるように感じる。次は72時間くらいしてみようかな。(で、実際にやってみた。

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